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経営革新等支援機関(認定支援機関)とは資金調達・経営支援の専門家

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経営革新等支援機関とは資金調達・経営支援の専門家 資金調達方法やメリットデメリットを完全解説

経営革新等支援機関とは、国が認定している中小企業や小規模事業者の資金調達や経営支援をする専門家のことです。

他にも「認定経営革新等支援機関」「認定支援機関」という名称でも呼ばれています。

中小企業や小規模事業者、個人事業主は、売り上げの減少や経費圧迫が原因で資金繰りが苦しくなりやすい事業者です。資金繰りを改善するためには売り上げを増やすか、経費の削減をして事業に使える資金を確保しなくてはなりません。しかし、売り上げ増や経費の削減は簡単に出来ることではありません。別の方法で資金を調達する必要があります。

一般的に考えられる資金調達の方法としては以下の4つが考えられます。

  • 金融機関に融資を申し込む
  • 補助金や助成金を申し込む
  • 事業の資産を売却する
  • 売掛債権を売却する

これらの資金調達方法のうち、金融機関に融資を申し込む方法と補助金・助成金を申し込む方法は、多くの事業者が最初に考える資金調達方法でしょう。

ですが、資金繰りが悪化している状態で金融機関から融資を受けるのはハードルが高いです。補助金や助成金に関しても、慣れている経営者であればスムーズに申込みができますが、そうでない場合は申し込むだけで多大な時間と労力がかかってしまいます。

そこで頼りになるのが「認定経営革新等支援機関」となるのです。

認定経営革新等支援機関とは経営支援のプロ

経営革新等支援機関とは、中小企業を支援する能力や経験が豊富な専門家を「国」が認定する制度です。

この制度で認定された士業や金融機関が「認定経営革新等支援機関」になります。

認定を受けるためには「中小企業経営力強化支援法」で定められている基準をクリアし、さらに認定されるまでには研修などを受けなくてはなりません。まさに「中小企業の経営支援のプロ」なのです。

令和3年2月26日に中小企業庁から発表された最新認定済み専門家の数は、金融機関の本店・支店を合わせると34,126事業所にものぼります。この数は決して多いとは言えません。

2006年に公表された日本の企業数は420.1万社です。そのうち99.7%(419.8万社)が中小企業・小規模事業者です。すべての事業者が資金繰りに困難をきたしているわけではありません。ですが、34,126の専門家が手分けして中小企業・小規模事業者の資金調達支援をするならば、1専門家あたり123社の支援をしなくてはならないのです。

だからといって手当たり次第に士業・金融機関に認定を与えるわけにはいきません。中小企業・小規模事業者の経営支援に特化した能力と経験が無ければ、依頼する側の事業者も満足できないでしょう。

それだけ「経営革新等支援機関」であることの責任は重いのです。

専門家の業種

認定を受けている専門家の業種は主に次の12業種に分けられれています。

  • 税理士
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 中小企業診断士
  • 民間コンサルタント
  • 商工会
  • 商工会議所
  • その他(フィナンシャルプランナー等)
  • 銀行・地銀
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • その他(系統金融等)

18種類の支援内容

経営革新等支援機関の提供している支援内容は主に次の18種類です。

18種類の支援内容
  • 創業等支援
  • 事業計画作成支援
  • 経営改善
  • 事業承継
  • M&A
  • 事業再生
  • 生産管理・品質管理
  • 情報化戦略
  • 知財戦略
  • 販路開拓・マーケティング
  • マッチング
  • 産学官等連携
  • 人材育成
  • 人事・労務
  • 海外展開等
  • BCP作成支援
  • 物流戦略
  • 金融・財務

経営革新等支援機関の支援内容 金融機関からの融資や補助金・助成金の支援

経営支援といってもその支援内容の種類はかなり多いです。経営革新等支援機関の検索ページにおいては18の支援種類に分けられていますが、実際にはそれよりも細分化しています。

資金調達支援においても同様のことが言えます。融資の申し込み支援や補助金の申し込み支援、金融機関とのリスケジュール交渉など、多彩な支援があるのです。

経営革新等支援機関が提供している資金調達支援方法のうち、ほとんどの機関で行なっている支援が次の2種類です。

金融機関の融資申し込み支援

事業の資金調達方法において、最初に思い浮かべるのが「金融機関からの融資」でしょう。融資を受ける場合、個人や法人にかかわらず「審査」が行なわれます。審査に通過しなければ融資を受けられません。審査でチェックされるのは「貸倒れリスクの有無・度合い」です。

金融機関も慈善事業ではありません。貸したお金に利率を設定し、その利子(年利)が利益になります。しかし、貸した相手が倒産した場合、利益となる利子が得られなくなります。その倒産する可能性が「貸倒れリスク」です。

中小企業や小規模事業者が高額融資を受けられる可能性が低いのは、この「貸倒れリスクが高い」ためです。いくら黒字が数期続いている事業者であっても、申し込む融資金額によって融資を断られることもあるでしょう。

つまり、中小企業以下の事業者は金融機関からの融資による資金調達は、圧倒的に「不利」なのです。経営革新等支援機関の専門家たちは、その「不利」な状況にある中小企業・小規模事業者の融資申し込み支援に特化しています。主な支援内容として以下の4つが挙げられます。

  • 金融機関の斡旋
  • 金融機関に提出する事業計画書や返済計画書の作成支援
  • 金融機関との面談に同行して説明補助を行なう
  • 融資決定後の資金繰り管理(モニタリング)

専門家によっては、すべての支援方法を行なっているところもあれば、支援内容の一部には対応していないところもあります。共通して行っているのは「金融機関に提出する事業計画書や返済計画書の作成支援」です。

金融機関の融資をうける際、申し込み書や決算書などのほかに、事業計画書や返済計画書の提出が求められます。金融機関によって、提出する書類の種類は異なりますが「計画書」という部分では共通しています。

この「計画書」こそ、金融機関が想定している「貸倒れリスク」を軽減させるための書類になるのです。ただし、単に計画書を作成して提出するだけでは「貸倒れリスク」の軽減にはなりません。経営革新等支援機関が作成に携わることで、計画書の説得性がアップするのです。

参照 返済計画書の作り方&返済計画書運用の注意点を完全解説

 

補助金・助成金の申し込み支援・手続き代行

補助金や助成金で重要なのは、募集期限内に正しい手続きを行なうことです。

補助金や助成金には申し込み期限があります。この申し込み期限を過ぎてしまうと、いくら補助金・助成金の対象事業者であったとしても申し込みできなくなってしまいます。

また、正しく手続きをしないと、申し込み書が差し戻されてしまい、新しく申し込みし直さなくてはなりません。補助金や助成金には予算が決められています。交付した金額が予算上限に達した段階になると、対象事業者でも交付されなくなってしまうのです。

つまり、補助金や助成金を得るためには「素早く正しい」申し込みが必要になるのです。簡単そうに見えて、実はミスが許されない補助金・助成金の申し込み支援を経営革新等支援機関が行なっています。

主な支援内容としては以下の通りです。

  • 申し込み書類の作成支援
  • 申し込み代行

補助金の申し込み時には融資支援同様、事業計画書の作成支援も行ないます。補助金の中には、経営革新等支援機関が作成に関与した事業計画書の提出を求められる「事業再構築補助金」などがあるためです。

またお願いする事務所の中には補助金・助成金の申し込み代行サービスを行なっているところもあります。忙しい経営者の代わりに書類作成や書類の提出などを代行してくれるのです。

参照 補助金・助成金は返済義務のない資金調達方法 政府や自治体の制度で資金調達

 

認定経営革新等支援機関に依頼する場合のメリットやデメリット

経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼するのはメリットがある反面、デメリットも存在します。

メリットデメリット

それぞれをもう少し詳しくお話ししていきます。

3つのメリット

現在の経営状況や財務状況に合った資金調達方法を提案してもらえる

経営革新等支援機関は事業再生、経営支援のプロです。依頼主の不利益になるような提案はしません。

資金繰りが悪化した場合、最初に思い浮かべるのは「金融機関からの融資」でしょう。融資が受けられるような財務状況ではないために、経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼するのです。しかし、金融機関からの融資は「借金」です。借金は返済しなくてはなりません。

事業の経営状況が悪化しているのにかかわらず、融資を受けてその返済で首が回らなくなってしまうのでは、まさに本末転倒です。そのような状況にならないために、依頼主の財務状況を細かく分析し、最適な資金調達方法を提案してくれます。

補助金・助成金の対象事業かどうかを診断してもらえる

補助金や助成金は説明が複雑で、一見すると「あれ?この補助金はもらえる対象なのかな?」と考えてしまうことが多いです。

経営革新等支援機関は補助金や助成金の対象事業者、対象事業であるかを分析しれくれます。

もらえるかわからないけど一度は診断を受けてみる、という事業者も少なくありません。もし対象事業者なのであれば、そのまま申し込み支援を受けても良いでしょう。

金融機関との面談時に同行して説明補助をしてもらえる

金融機関から融資を受ける際、金融機関におもむいて面談をしなくてはなりません。ビジネスローンのような高金利のローン商品であれば、ネット申込みも可能でしょう。事業性融資のような金額の高い融資商品の場合は、融資担当者との面談を経て申し込みするのが一般的な流れです。

申し込みの際、提出する書類に関しての口頭質問が行なわれます。作成した事業計画書や返済計画書の内容を、経営者が把握しているのかの確認も兼ねた口頭質問です。この口頭質問は慣れている人でも緊張で失言をしてしまう場合があります。1回や2回の失言であればミスで済まされるかもしれませんが、数回も続くと融資担当者も不審に思ってしまうでしょう。

経営革新等支援機関にもよりますが、この金融機関との面談に同行して説明補助をしてくれるサービスもあります。事業計画書や返済計画書の作成にたずさわっている専門家だからこそ、細かい部分までを把握して適確に答えてくれるでしょう。面談前には専門家を交えた面談練習も行なわれます。

安心して金融機関との面談に臨めるのもメリットでしょう。

3つのデメリット

どの事務所を選べばよいか迷ってしまう

日本全国で見ても3万を超える認定機関があります。そしてそれぞれの事務所においても取り扱っている内容が異なるため、どこを選ぶのがベストなのかが分からなくなってしまうことでしょう。

一番良いのは、直接問い合わせをしてみることでしょう。そして現状を説明し、その支援を行っているのか、これまでに実績はあるのかという質問を投げかけてみるとよいでしょう。

多くの場合、初回相談を無料にしているところが多いです。いくつかの事務所から話を聞き、それぞれから具体的な支援内容を聞いてから依頼すると良いでしょう。

料金がかかる

国から認定された機関とはいえ、慈善事業ではありません。支援機関を利用する場合には、相応の料金が必要になります。

料金は事務所ごと、そして支援内容によって異なります。資金繰りが厳しい状態で資金調達支援を依頼するのは心苦しい部分があるでしょう。しかし、そのお金は事業を継続させるために必要な「経費」です。

ちなみに、補助金や日本政策金融公庫の融資申し込みで支援を依頼した場合、地域によっては支援機関に支払う料金を補助してくれるところもあります。依頼する予定の事務所に料金の補助金について聞いてみると良いでしょう。

資金調達方法によって追加料金がかかる場合もある

すでに事業で契約している税理士や会計士が経営革新等支援機関の場合、資金調達支援を依頼することは可能です。ですが、資金調達方法によっては追加料金が発生する場合もあります。

とくに補助金や助成金の申請支援は、補助金の数%もしくは一律数万円の料金がかかる場合があります。顧問だからやってくれるだろう、とはならないため注意が必要です。

経営革新等支援機関への依頼方法

経営革新等支援機関に資金調達支援をする場合の流れをお話しします。

1.検索

まずは中小企業庁のホームページにある「認定経営革新等支援機関」のページ中央にある『認定経営革新等支援機関検索システム』をクリックします。

経営革新等支援機関

画像引用元 認定経営革新等支援機関(中小企業庁)

 

クリックしたら日本地図のページにジャンプします。

経営革新等支援機関検索

画像引用元 検索システム(中小企業庁)

 

自分の事業所住所地を選びましょう。

経営革新等支援機関種別

画像引用元 認定経営革新等支援機関検索システム(中小企業庁)

 

「経営革新等支援機関種別」のチェックボックスをクリックして、検索したい業種を選択します。

あとは名称/店舗名の青字部分をクリックすれば、連絡先などが表示されます。

2.相談する

検索した経営革新等支援機関に連絡して資金調達の相談をしましょう。ただし、注意点として検索して表示された事務所の中には資金調達支援を行なっていない場合もあります。検索ページの下部にある「相談可能内容」を確認してから相談をすると良いでしょう。

資金調達支援に関わる相談可能内容としては

  • 創業等支援
  • 事業計画作成支援
  • 経営改善
  • 事業再生
  • 金融・財務

が該当します。詳しい支援内容は直接問い合わせてみると良いでしょう。あとは相談の結果を受けて依頼先を選び契約を結びましょう。

経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼する上での4つの注意点

支援機関に資金調達支援を依頼する場合、4つのことに注意してみてください。

  • 依頼するタイミング
  • 資金調達支援のプロでも得意不得意がある
  • 近隣の事務所を選ぶのが吉
  • 資金調達支援のスピードは「遅い」

依頼するタイミングは「資金繰りが悪化する前」がベスト

経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼するタイミングは「資金繰りが悪化する前」がよいでしょう。資金繰りが悪化してから遅いかもしれません。

資金繰り悪化の度合いによっては、いくら専門家だったとしてもベストな対応ができない可能性が高くなってしまうのです。そして選択肢が限られてきてしまい、さらには厳しい選択肢しか残らなくなってしまう可能性があります。

手遅れになる前に、アドバイスだけでも早めに受けておいた方がよいかもしれません。

資金調達支援のプロでも資金調達方法の得意不得意がある

資金調達支援のプロでも資金調達方法によっては得意なものと不得意なものがあります。資金調達支援で必要なのは「知識」「実務能力」「経験」です。

税理士や会計士といった士業が認定されていますが、すべての士業が経営革新等支援機関に認定されているわけではありませんので注意が必要です。

税理士や会計士の場合、職業上で金融機関や行政機関と交渉をする機会も多いでしょう。金融機関の融資調達支援や補助金・助成金に関する支援は得意かも知れません。しかし、それ以外のマッチング支援や不動産リース&バック、ファクタリングといった資金調達支援は出来ない可能性もあるのです。

はっきり言ってしまうと、すべての資金調達方法に精通している支援機関は存在しません。依頼をする場合には、どのような資金調達支援を行なっているかを確認してから相談すると良いでしょう。

近隣の事務所を選ぶのが吉

資金調達支援を支援機関に依頼するときには、なるべく近隣の事務所に依頼をしたほうがよいでしょう。

支援機関は全国にあり、とくに大都市圏に集中しています。

たしかに今はテレビ電話会議などが一般的に行なわれているため、たとえ遠方であったとしても依頼可能でしょう。しかし、金融機関との交渉や面談同行のような支援が必要な場合には、対応できない、もしくは遠方からの交通費などの経費がかかってしまうケースもあるのです。

事業所住所地にある経営革新等支援機関であれば、地域性も理解していますし、金融機関の融資交渉でも支援してくれる範囲が幅広くなるはずです。

また、事業住所地の経営革新等支援機関の場合、地銀やメガバンクの支店などと一定のコネクションが築かれていることもメリットでしょう。普段からやりとりしている仲だからこそ、スムーズに融資交渉や融資面談が進む可能性が高いのです。

資金調達支援のスピードは「遅い」

経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼する場合、注意すべきこととして、調達までのスピードが遅いという点が挙げられます。

というのも、経営革新等支援機関の得意とする資金調達支援のほとんどは

  • 金融機関融資の申し込み支援
  • 補助金・助成金の申し込み支援

となります。

金融機関に融資を申し込む場合、融資審査に通過して資金が手元に来るまでには、早く見積もっても2週間はかかるでしょう。融資申し込み金額が高額になればなるほど、金融機関側の調査時間も長くなるためさらに伸びる可能性もあります。

補助金や助成金も申し込んでから、1ヵ月以上かかるものがほとんどです。明日にでも資金が必要!という場合には補助金や助成金では間に合わないケースがほとんどです。その場合には、すぐに資金調達が必要であるという内容を伝え、一緒に候補を検討してみるとよいでしょう。

経営革新等支援機関に資金調達支援を依頼するなら事前チェックは必須である

経営革新等支援機関は国が認めた優秀な経営支援のエキスパートです。しかしエキスパートだからといってすべての事業者にとって有益な支援をしているわけではありません。

資金調達支援を依頼する前に

  • 自分の事業の財務状況の確認
  • 依頼予定の事務所の情報収集
  • 他の支援機関との比較

これらをチェックしてから依頼を検討すると良いでしょう。

経営革新等支援機関へ資金調達支援の依頼が事業にとって有益となるか否かは、経営者の判断にかかっているのです。