有価証券を担保にして融資を受けるときの注意点!対象にならないケースもある

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有価証券を担保として融資を受ける「有価証券担保融資」があります。ただしすべての有価証券が担保として認められるわけではありません。

会社を運営するための資金である運転資金の調達方法でもっとも多く挙げられるのが「融資」です。融資は銀行などの金融機関をはじめ、ノンバンクの金融会社、証券会社などでも扱っています。

高額な事業性融資を受ける場合、必要になるのが「担保」です。返済できなくなった場合に備えて、融資元の金融機関へ差し入れるものです。担保にできるものには、不動産や動産といった物理的なものが挙げられます。一方で、物理的ではない担保もあります。

それが「有価証券」を担保にした融資商品です。

今回は有価証券担保について詳しく解説していきます。

有価証券とはそもそも何?

有価証券とは、財産的な価値のある権利を表した証券のことで、その権利の発生や移転、権利の行使などが証券によってなされるものを指します。

 

有価証券が価値がある
有価証券とは「お金と交換することのできる価値のある紙」と考えるとわかりやすいかもしれない。
手形、小切手も、書かれている金額分の価値がある。株券も商品券もお金の価値がある。これらが有価証券となる。


 

有価証券を定めている法律には複数あり、有価証券とはという定義が広範囲に広がっているのも特徴です。有価証券別ではそれぞれ次のような法律で分類されています。

  • 為替手形・約束手形・・・手形法
  • 小切手・・・小切手法
  • 株券・社債・・・会社法と商法

参照 「手形法」「小切手法」「商法」

 

日本国内で一般的に「有価証券」と言われている証券には以下のような種類のものが挙げられるでしょう。

有価証券(例)
  • 為替手形
  • 約束手形
  • 小切手
  • 国債・地方債
  • 社債
  • 株式(株券)
  • 新株予約権
  • 国内ETF
  • 国内REIT
  • 貸付信託受益証券
  • 投資信託受益証券
  • 個人向け国債
  • 外国債券

有価証券は非常に数多く存在し、挙げればキリがないほど種類があります。

担保にできる有価証券と担保にできる有価証券の違い

有価証券担保融資で担保にとして利用できる有価証券と、担保にできない有価証券があるのはあまり知られていません。

そもそも有価証券担保融資は、融資を行なう金融機関や金融会社によって、担保にできる有価証券の種類が異なります。

担保にできる有価証券と担保にできない有価証券の違いは、主に次の3つが影響しています。

3つの条件
  • 流動性の高さ
  • 相場変動の頻度
  • 発行元の信用力

流動性の高さ

担保にとっての流動性の高さとは「換金性」を意味しています。つまり流動性の高い有価証券とは、換金しやすい有価証券であるということです。

手に入れたときの金額がいくら高くとも、換金しづらい有価証券は担保としてみなされない可能性があるのです。有価証券担保の中でもとくに影響があるのは株式です。発行元の会社が上場企業であるか否か、上場している取引所がどこなのかによっても担保にできるかどうかが変わります。

相場変動の頻度

有価証券には相場の変動に比例して価値が変動するものもあります。相場変動の頻度が高いということは、それだけ担保にしている有価証券の価値が安定していないということになります。

有価証券の中でもっとも相場が安定しているといえるのが国債です。しかし、実際にはあまり安心できません。銀行や機関投資家の売買状況や国際情勢によって多少の変動が起こりえます。国債は扱い金額が高額になるだけに、価値が1円下がるだけでも大きな担保価値の低下につながってしまうのです。

相場の変動で大きな影響を受ける有価証券には国債以外では株式(株券)が挙げられます。株券を発行した会社が大企業の場合、大きな変動はあまり見られません。しかし、スキャンダルやリコールなどニュースの影響によって大きく変動する場合もあります。

発行元の信用力

株式や社債といった会社が発行している有価証券の場合、発行した会社の信用力も有価証券対象の可否に影響します。

会社の規模が大きく、経営状況も問題なければ対象となる有価証券の担保としての効力が発揮されるわけであり、担保対象としてプラスに働きます。しかし逆の場合には、金額の大きさにかかわらず担保として見なされない場合もあるのです。

 

有価証券を担保
担保としての価値がある、つまり貸したお金が返ってこなかったとしても、担保にした有価証券でチャラにできると融資元が判断できるかどうかがカギとなる。


 

金融機関によって担保にできる有価証券が異なるケースもある

有価証券担保融資において、担保にできる有価証券は融資を提供する金融機関や金融会社によって異なります。

たとえばA銀行では株式を担保として認めているのに対して、B金融会社では株式を担保として不可にしている場合もあるのです。

ただし、メガバンクのような資金規模の大きな銀行グループでは、銀行だけではなく証券会社も運営しています。銀行の証券担保融資審査に落ちたとしても、同じグループの証券会社の証券担保融資では通過するケースもあるため、事前に有価証券担保融資の担保の種類については確認しておくとよいでしょう。

 

有価証券が担保となるか
持っている有価証券が担保となるのかどうかは、金融機関ごとに異なる。
そのため聞いてみるのが早いだろう。


 

有価証券を担保にする方法

有価証券担保融資を利用する場合には、持っている有価証券を担保として設定する必要があります。この担保を設定することを「差し入れる」と表現します。

そして担保を差し入れる行為は、担保に設定する有価証券の種類によって方法が異なります。また融資を受ける金融機関や金融会社によっても異なる場合があります。

担保の扱い方には「譲渡担保」「質権」の2種類があり、この扱い方の違いでも差し入れる手続き方法が異なってくるのです。

譲渡担保と質権の違い

有価証券担保融資において有価証券を担保として差し入れる場合、その担保の扱いが「譲渡担保」なのか、それとも「質権」なのかで手続き方法も変わります。

譲渡担保とは、その担保の所有権を債権者(融資元)に移転させ、融資の完済をもって債務者(融資の申込み者)へ権利を返還する形式のことです。譲渡担保の形式をとる場合、担保として差し入れた対象はそのまま使用できるというメリットがあります。

対して質権とは、所有権は債務者のままにしておき、占有権のみを債権者に移転させる形式のことです。「質」という言葉からもわかるとおり、街の質屋さんのような形式をとっているのが質権になります。返済ができなくなった場合、担保にしている対象物は質流れとなり、他社へ売却されて現金化され返済金の一部に充てられるのです。

有価証券担保融資においては、金融機関や金融会社によって譲渡担保もしくは質権の形式で担保を設定しています。

有価証券担保融資の担保を差し入れる方法

譲渡担保にしろ、質権にしろ有価証券担保融資として差し入れる場合には、その有価証券の名義を融資元に変更しなくてはなりません。基本的には融資元の会社で手続きを行ないますが、金融機関によっては自分で名義の変更手続きをしなければならない場合もあるのです。

もちろん有価証券の種類によっても変わります。登記が必要な場合は法務局で登記の変更手続きが必要になりますし、株券の所有権を変更する場合には、証券会社での手続きが必要になる場合もあります。

差入れ方法は譲渡担保か質権でも手続きが変わるため、融資を依頼する金融機関や金融会社へ事前に確認してから申込みをするとよいでしょう。

有価証券担保融資の担保対象有価証券の注意点と対処法

有価証券担保融資で主な担保対象となる有価証券にはそれぞれに注意すべき点が挙げられます。

ここではそれぞれの注意点とその対処方法について解説していきます。

国債

国債には法人向けの国債と、個人向けの国債の2種類があります。金融機関によっては国債を有価証券担保融資の担保にする場合、個人向け国債は対象外にしているところもあります。

対処法としては、個人向け国債以外の有価証券を担保にできる金融会社の事業性融資商品を検討することです。一番確実なのは定期預金を担保にした融資商品です。定期預金で預けている金額分の融資が受けられます。

ただし、利率などによっては定期預金を中途解約した方がお得になる場合もあるため、必要な金額などを考慮した上で利用を検討するとよいでしょう。

参照 預金を担保にする「預金担保融資」は好条件だが要注意!預金担保融資の仕組みを大公開!

 

社債

大手企業の社債であれば、担保として認められる場合があります。しかしその一方で中小企業のような株式市場に上場していない会社の社債は、担保として認められない場合もあるのです。

社債を担保にして融資を受けたいのであれば、中央に近い証券取引所に上場するか、他の担保を探すかしかありません。中央というのは東京証券取引所やジャスダックといった東京にある証券所のことです。

株式でも同じことがいえます。いくら上場企業といっても、東京・名古屋などの証券取引所、マザーズやジャスダックなどの証券取引所で上場していなければ、社債としての評価はあまり高くなりません。

株式

株式の場合、換金性という部分がネックになります。社債でも述べましたが、担保にする株式の会社が東京証券取引所や名古屋証券取引所、マザーズやジャスダックといった証券取引所に上場されていれば問題ありません。しかし、地方の証券取引所でしか上場していない会社の場合は担保評価が下がってしまうケースもあります。

対処方法としては、いくつかあります。一番確実なのは、手持ちの株式を売却もしくは担保にして上場企業の株式を購入することです。同じ金額価値の株式で担保融資になるか否かが決まるのであれば、換金性の高い上場企業の株式を新たに購入した方が有価証券担保融資で資金を調達しやすくなるのです。

手形

約束手形を有価証券担保融資にする方法もあります。しかし手形は有価証券の中でも特殊な部類に入るため、金融機関や金融会社によっては手形割引を勧められることもあるでしょう。

利率などを踏まえて手形割引にするか、それとも有価証券担保融資にするかを比較するとよいでしょう。

また、手形は発行した会社の信用力に評価が依存されます。発行元の会社の信用力が低い場合には担保として認められないこともあります。手形割引でも利用できない場合には、手形を担保にした融資商品以外の資金調達方法の模索も検討するとよいでしょう。

参照 手形とは支払い手段の1つ わかりにくい手形取引を簡単に解説

 

参照 約束手形を現金化するための3つの方法 銀行取立・手形割引・手形貸付

 

対象の有価証券の特徴に注意

有価証券を担保にして融資を受ける場合、担保対象となる有価証券の特徴を把握しておくことをオススメします。

早い話が、持っている有価証券が担保となるのかを直接聞いてみるのがよいでしょう。万が一担保として認められない場合も想定して、有価証券担保融資以外の資金調達方法についても検討しておくとよいでしょう。

一番大事なのは会社の運転資金を調達することです。運転資金を調達する方法は数多くあります。そのほかの方法を検討しても良いわけです。

有価証券担保融資の担保評価が低かったり、希望融資金額が手に入らないのであれば、他の資金調達方法で不足分を補うことも視野に入れておくとよいでしょう。

参照 事業者のための11の資金調達方法

 

参照 資金調達方法は意外と沢山ある!?事業者のための28の資金調達方法とメリット・デメリット

 

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株式会社デキタ 渡邉
株式会社デキタの代表取締役。資金調達に関する知識を身に付けるために「ファクタリングで資金調達デキタ!」を制作・運営。その延長線上で、事業者の利用する資金調達方法に焦点を当てた当サイトを企画・制作・運営。 資金調達に関する記事執筆は2018年より開始。複数の税理士やファイナンシャルプランナーと交流しながら、記事執筆をつづける。