売掛と掛売は同じ意味 売掛は「状態」で掛売は「取引方法」

売掛と掛売は同じ意味 売掛は「状態」で掛売は「取引方法」
 
 
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「売掛」と「掛売」は同じ意味として捉えて良いかと思います。

  • 「売掛」=まだ支払われていない状態
  • 「掛売」=事業者間の取引方法

これらの2つの言葉は似た意味として利用されますが少し異なります。違いは「状態」「取引方法」となります。

  • 売掛と掛売の言葉の意味
  • 売掛に似た言葉や意味をもつ取引方法の仕組み
  • 売掛が発生した場合の経理上の処理フロー

会社間での取引方法にはいくつか種類があります。

その中でもとくに利用されているのが「売掛」です。

 

売掛と掛売は違うの?
売掛?掛売ではないの?


 

このように、売掛と掛売は混同しまいがちです。しかし取引方法でいうとどちらも同じです。

ただし日本の商習慣において、これらの持つ言葉の意味や使われ方には若干の違いがあります。

売掛取引に関連する言葉には同じような言葉なのに意味が異なって使われている用語が多い取引方法です。事業を円滑に行なっていくのなら、それぞれの言葉の意味をある程度は把握しておいた方がよいでしょう。

たとえば「売掛」という言葉を理解するためには、売掛に関わる専門用語も覚えておくとより理解が深まるかと思います。

「売掛」と「掛売」の言葉の意味と違い

「売掛」と「掛売」の言葉の意味と違い

繰り返しますが、売掛と掛売はほぼ同じ意味の言葉です。

どちらの意味としても、「商品やサービスを提供した際、支払いを後日行うこと」になります。

身近でたとえるなら居酒屋の「ツケ払い」と同じ仕組みです。

ツケ払いの場合、正式な契約書などは交わされていない口約束であることが多いでしょう。

しかし会社間での売掛や掛売は、正式な契約書のもとで取引が行われることになります。

「売掛=掛売」は意味が同じ 使い方には若干ニュアンスが異なる

売掛と掛売は「ほぼ同じ意味」という説明をしてきました。ところが実際のビジネスの現場では異なるニュアンスで使われている傾向があるのです。

掛売は事業者間の取引方法、つまり後払いで支払うという意味が強いです。

売掛はまだ支払われていない状態を指すこともあります。

さらに売掛金という言葉になると、取引先から受け取るお金という意味にも利用されますが、「後日支払われるお金をもらう権利」という意味としても使われることがあります。

売掛は簿記・会計における勘定科目

「売掛」の本来の意味は、簿記や会計における「勘定科目」の名称です。

つまり会計における分類項目の総称という意味です。

会社間で取引を行い、代金の支払いを後払いにする取引方法を「掛取引」といいます。この掛取引の中で、手形が発生した場合は「受取手形での取引」となり、手形が発生しない場合は「売掛金での取引」となります。

この「売掛金での取引」が簿記・会計における専門用語である「売掛」となるのです。

売掛・掛売以外の取引方法を知れば売掛の仕組みが理解しやすくなる

取引方法には今回紹介している「売掛」と「掛売」以外にも、いくつかの種類があります。

主流な取引方法が以下の4つです。

それぞれどのような仕組みなのか簡単にお話しします。

現金決済

現金決済は、商品やサービスの対価として、その場で現金での支払いを行う取引方法です。

事業者間(BtoB)だけではなく、事業者と消費者間での取引方法(BtoC)で昔から使われている方法になります。

商品を受け取ったタイミングで支払いを行うことになります。

前払い

商品やサービスを受ける前に代金を支払う取引方法です。

クレジットカードや現金で事前に代金を支払っておく方法です。建設業や製造業などは前払いによる取引を行っています。業種によっては前払い後に追加の商品やサービスの提供があった場合、後払いとなるケース(宿泊業など)もあります。

クレジットカードによる支払い

売掛取引の一種であるクレジットカードによる支払いは若干ですが通常の売掛取引とは異なります。

通常の売掛の場合、商品やサービスを提供した相手から直接お金が後日入金されます。クレジットカードの場合はクレジットカード会社を経由して入金されるという違いがあるのです。この時、クレジットカード会社は取り扱い手数料を差し引いた金額が入金されます。

経理上、クレジットカードで支払われた代金は売掛金として計上しなくてはなりません。この場合、通常の売掛金ではなく個別に「クレジットカード売掛金」として勘定科目を分ける必要があります。

また、売上の計上時(代金入金時)にはクレジットカード会社の支払手数料も「支払手数料」として計上します。

一旦クレジットカード会社に間に入ってもらうことで、売掛金の未回収が防げるというメリットがあるため、近年では多くの事業者がクレジットカード払いに対応するようになりました。

売掛取引の一種ではあるものの、クレジットカードが身近になっていることもあり、売掛とは別の方法と捉えられがちですが、本質的には売掛取引になるのです。

デビットカードによる支払い

銀行口座から直接支払えるデビット機能を使った取引方法です。

クレジットカードとは異なり、銀行口座にお金が無ければ代金を支払うことはできません。

近年ではVISAやJCB、マスターカードといった大手クレジット会社でもデビットカードを扱いはじめました。海外ではクレジットカードよりもデビットカード利用者の方が多いとされています。

銀行口座から自動的に引き落とされるデビットカードは、クレジットカードとは異なり売掛取引ではありません。しかしクレジットカード会社がそのシステムを担っていることから、「デビットカード=クレジットカード=売掛」と勘違いする人もいます。

デビットカードはクレジットカードと本質的な仕組みが異なるため、勘違いしないように注意しておきましょう。

売掛・掛売関連の言葉や他の取引方法について

売掛と掛売という言葉を別物として認識してしまう原因の1つとして、売掛取引の中で使われる言葉の多さや売掛取引に似た仕組みの取引方法が多いことが挙げられます。

とくに間違えやすい言葉としては以下が挙げられます。

  • 買掛金
  • 未収金
  • 前受金

それぞれの言葉の意味と売掛との違いについてお話しします。

売掛と買掛の違いは売る側と買う側

売掛と似た言葉で混同しがちなのが「買掛」という言葉です。

買掛とは商品やサービスの代金を後日「支払う義務」のことを指します。売掛が後日「受け取る権利」であるのに対し、買掛は「支払う義務」になります。

つまり、売掛は売る側であり、買掛は買う側ということです。

未収金は営業外の収入のこと

未収金とは営業外で発生した取引による債権のことで、未収入金とも呼ばれています。

たとえば、事業者が株式を保有しており、その株式を売却した場合は「未収金」として帳簿に計上します。

「未収」とつく用語は付属する言葉で大きく意味が異なるものです。

たとえば「未収収益」が挙げられます。未収収益は「継続した債権の発生」に使う言葉です。定期預金の受取利息や不動産の賃料といった継続して発生する債権の未収分が未収収益になります。

完成工事未収入金は建設業会計における用語です。すでに完成工事高に計上した工事にかかわる請負代金のうち、まだ代金を受け取っていない未回収の状態の代金を処理する場合に使用する資産勘定科目になります。一般的な商取引の中では売掛金と同じ意味をもっています。

参照 売掛金と未収金の違いを解説

 

参照 売掛金と未収金は似ているが異なるもの

 

売掛は商品・サービスの提供後に発生して前受金は提供前に支払われるお金

前受金とは事業者間取引において商品やサービスの提供前に支払われるお金のことです。

全額を支払った場合は「前払金」となり、金額の一部を事前に支払う場合は、そのお金が「前受金」になります。内金や手付金という呼び方もします。

売掛金との違いはお金を受け取るタイミングです。売掛金は商品やサービスを提供してから代金を後日受け取る権利になります。前受金は商品やサービスの提供前に受け取った「代金の一部」になります。

売掛・掛売は関連することまで理解しておこう

以上のように「売掛」と「掛売」は基本的に同じ意味で使われる言葉となります。

しかし日本の商習慣においては若干ニュアンスが異なることもあります。

掛売は事業者間の取引方法であり、後払いで支払うという意味が強いです。売掛はまだ代金が支払われていない状態を指します。

ただし基本的には同じ意味として捉えてもよいかとは考えています。

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株式会社デキタ 渡邉
株式会社デキタの代表取締役。資金調達に関する知識を身に付けるために「ファクタリングで資金調達デキタ!」を制作・運営。その延長線上で、事業者の利用する資金調達方法に焦点を当てた当サイトを企画・制作・運営。 資金調達に関する記事執筆は2018年より開始。複数の税理士やファイナンシャルプランナーと交流しながら、記事執筆をつづける。