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請求忘れの時効は1年~5年 時効期限になると売掛金は回収不能になる!

請求忘れの時効はいつまで?時効期限になると回収不能になる! 売掛金

請求には期限があります。この期限のことを「時効」といいます。

 

請求書を出すのを忘れていた・・・。
しまった!請求するのを忘れていた!

 

せっかく仕事をしても、請求忘れによって売上げが入金されないのは、会社として起こしたくないミスです。請求忘れに早い段階で気づいておけば問題ありませんが、もし長期間忘れている場合には注意が必要です。なぜなら時効があるためです。

しかし時効の成立さえしなければ、取引の発生から数ヶ月が経過していたとしても、請求忘れに気付いたタイミングから行動すれば売上を回収することができます。

そのため、確定申告や決算処理の段階で請求忘れに気づくことができれば、回収を諦める必要はありません。しかし時効を迎えてしまっている場合には、気づいた段階で請求をしたとしても回収することができません。

注意すべきは請求の内容によって時効期間が変わってくる点です。

売掛金を回収する権利が時効消滅する前に請求書を発行する

権利が時効消滅する前に請求書を発行する

売掛金を請求する権利があるにもかかわらず、請求書の発行そのものを忘れていたり、請求書は発行したものの、取引先に渡していない、届いていないといったトラブルが起こる場合があります。取引の発生から一定期間がすぎると、民法による「消滅時効」が適用されてしまいます。それにより売掛金の請求そのものができなくなってしまうのです。

そこでまず確認したいことは、「請求書発行」に関してです。

請求忘れが発覚した時に、まずやるべきことは、請求書の発行手順の確認です。

請求書発行手順の確認

  • 請求書を発行しても取引先に送っていない
  • 送った請求書を取引先が受け取っていない
  • そもそも請求書を発行していない
  • 請求書に不備があった

取引先から代金を支払ってもらうためには、納品だけではなく、請求書の発行から送付までの一連の流れを確認することが重要です。請求書を発行しても、取引先が受け取っていなければ請求書を発行していないことと同じ状態になってしまうのです。

請求書の手順を見直せば、どのタイミングで請求忘れや請求漏れになっているのかがわかります。時効期間を1日でも過ぎれば売上げ金の回収はできなくなってしまいます。慌てる前に請求書の発行や発行手順の確認を行いましょう。

消滅時効は業種によって期間が決められています。最短で6ヶ月、最長で10年の時効期間があります。業種別の消滅時効期間を一覧表でまとめましたので確認していきましょう。

消滅時効期間業種
1年
  • 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権(旧民法174条4号)
2年
  • 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物、又は商品の代価に係る債権(旧民法173条1号)
  • 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権(旧民法173条2号)
  • 学芸又は技能の教育を行なう者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権(旧民法173条3号)
  • 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権(旧民法172条1号)
3年
  • 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権(旧民法170条1号)
  • 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権(旧民法170条2号)
5年
  • 上記以外の商行為に関する債権

消滅時効のカウントがいつからスタートするのかについても覚えておきましょう。

たとえば、消滅時効が3年だった取引の場合は、時効へのカウントがスタートするのは契約書にかかれた支払い期日の翌日からです。よって、時効が成立するのはちょうど3年後の支払期日となります。

 

時効成立は支払期日の3年後となる
支払い期日が3月30日の場合は、4月1日から時効のカウントがスタートしたら、時効成立は3年後の3月30日ということになる。

 

時効のカウントがスタートするのは、契約している仕事を完了した日でも、請求書を送った日でもありません。たとえ、支払いを求めて何度も請求書を送っていたとしても、時効へのカウントがリセットされるわけではありません。

翌日に時効期日がくる請求書に気づいて、急いで取引先に送ったとしても、時効期日に間に合わない可能性が高いです。だからこそ、請求忘れに気付いたら素早い行動が必要なのです。

もしかしたら、取引先は請求されていないことに気付いているかもしれません。時効がくるのを今か今かと待っている…そんな悪質な会社と今後信用取引はできないでしょう。しかし、現実には「もう少し支払いを待ってくれ」と支払期日を先延ばしにされて、時効期日を迎えるケースも起きているのです。

請求忘れに気付いたら、冷静になって請求書の発行がされているかなどの確認をしましょう。時効期間内かつ自社のミスであれば、請求書を再発行すれば代金の回収は可能です。ただし、取引先で請求書の受領がされていないなどのエラーが発生している場合は、回収に時間がかかってしまう可能性もあります。

長く付き合っている、もしくは今後も長く付き合いたいと考えている取引先であれば、なおさらデリケートな問題です。信用取引のベースである「信用」を損なわないように、集中して対応しましょう。

経過した請求書の時効期間を中断する方法

経過した請求書の時効期間を中断する方法
時効成立間近の請求書発行と同時に、時効の中断措置を行なう準備もしましょう。繰り返しますが、請求書を取引先に届けても時効成立までのタイムリミットはストップしません。法的な手続きによって時効が中断されなければ、取引先が支払わないまま、時効が成立してしまう可能性があるのです。

気を付けたいのが時効の中断手続きは、時効経過を完全にストップさせるものではなく、一時的に停止させるだけであるという点です。このことから、時効中断措置は同じ意味で「時効の停止」と表現されることもあります。

時効を中断させる場合には、まず取引先と話し合うことが重要です。取引先が請求に応じない場合は、弁護士など法律的な知識のある外部機関と一緒に、時効中断手続きとそれ以降の回収方法について、方針を決めておきましょう。

時効の中断措置で一般的な方法は次の5つです。

時効中断措置で一般的な5つの方法

  • 請求訴訟を起こす
  • 支払督促を行なう
  • 民事調停の申し立てを行なう
  • 取引先に債務の承認をしてもらう
  • 代金の一部を支払ってもらう

時効を中断できる「請求訴訟」とは裁判を行なうこと

時効中断における「請求訴訟」とは、取引先に対して裁判を起こして請求を行なうことです。

請求訴訟を行なう場合は、弁護士や債権回収代行業者に依頼した方が素早く対処できます。ただし依頼の際には依頼手数料などのコストがかかることを覚えておきましょう。

請求訴訟を行なう場合、一番のネックは請求から代金の回収まで時間がかかることです。時効成立までのタイムリミットは法的手続きを踏まない限り止められません。法的な請求の準備をする時間もないほど、時効が迫っているような非常事態には「勧告」という手段がとれます。

売上金回収にともなう「勧告」の方法

勧告には主に次の2つの方法があります。

2つの勧告方法

  • 支払いを催促する
  • 支払い督促の文書を送る

勧告を行うと、行ったタイミングから6ヶ月間の時効成立猶予期間が与えられます。つまり6ヶ月間、時効を止めておくことができるのです。ただし、勧告という手段を選んだ場合、気を付けなければいけないことが3つあります。

3つの勧告の注意点

  • 勧告から6ヶ月以内に法律上の手続きでの請求行為を行なう
  • 勧告で猶予期間がもらえるのは一度だけ
  • 勧告を行なった証拠が必要

勧告での猶予期間は、時効を6ヶ月間止めておけるだけの停止措置でしかありません。法的な回収を行なうための準備をするための措置です。6ヶ月以内に請求訴訟などを行なわなければ、ムダな時間になってしまうのです。

勧告をして猶予期間がもらえるのは1度だけです。6ヶ月間の間に再度勧告をしも、さらに6ヶ月の猶予が追加されるわけではありません。

勧告の証拠を残すためには、内容証明郵便を利用しましょう。内容証明郵便は法的手段をとる場合に証拠書類になる特別な郵便です。内容証明郵便による勧告文書は、後に裁判上での手続きに必要になるため、債権の内容や発生時期、金額や支払い期限までを事細かに残しておかなければなりません。

参照 内容証明郵便での売掛金回収は有効な方法!内容証明には決まった文章形式がある

 

時効を中断できる「支払督促」とは裁判所書記官による簡易的な書類命令のこと

支払督促とは、裁判官ではなく裁判所の書記官が行なう「文書による命令」のことです。裁判を起こすよりも比較的簡単に利用できる手続きです。支払督促を行なうためには審査を通過しなければなりません。

支払いの証拠となる書類などを揃えているかといった基本的な審査から、自社で文書などを使って請求行為をしたかなども見られます。文書を使って請求を行なう場合は、勧告と同じように、内容証明郵便を利用しましょう。

民事調停で取引先と交渉できる

民事調停は裁判ではなく、自分と取引先で和解交渉を行なう場です。裁判所が選んだ調停委員と裁判官が第三者として和解交渉に参加します。

民事調停で決められた内容が守られなければ、差し押さえや仮処分などの法的執行が可能になります。差し押さえ・仮処分は裁判によって取引先の資産を差し押さえることです。すでに民事調停において必要書類の提出などがされているため、訴訟を起こしたとしても、スムーズに手続きが進みます。

時効を中断できる「債務の承認」とは取引先が債務であると認めること

「債務の承認」とは、債務があることを取引先が認める行為のことです。

承認の一例

  • 支払い猶予をお願いされる
  • 債務があることを認める文書がある

この債務の承認とは、簡単にいえば、取引先が売掛金の支払い意思を見せるための具体的な行動を起こすことです。自分だけが時効中断について動くのではなく、取引先からの行動でも中断は可能であることも覚えておきましょう。

承認を得る場合には必ず証拠を残しておかなければなりません。電話や対面での会話ではなく、文書やメールといった記録が残るものでやり取りすることをおすすめします。

「代金の一部支払い」も「債務の承認」と見なされる

取引先から代金の一部でも入金されると、その時点で時効の経過がリセットされます。代金を支払うことで、先ほどの債務の承認と同じ意味になるからです。

民法改正で変わる時効の定義

民法改正で変わる時効の定義

2020年4月1日から民法が改正され、「時効の定義」が変わりました。改正前までは、時効の中断について一時的なものであるという解釈でした。民法改正後の定義では、職業別の消滅時効期間が撤廃され、シンプルで寛容的なものになります。

改正後の時効期間

  • 請求する権利があると知った時から5年
  • 請求する権利が行使できる時から10年
  • ※いずれか早く到達するほう

時効のカウント開始は、権利を行使できると知った日からになります。つまり、契約書で支払い期限を確認した日がスタートになるため、実質的に改正前と変わりません。ただ、消滅時効の考え方が統一されることで、多種多様な事業を行っている会社にとってはメリットになりますし、債権管理がしやすくなることで請求忘れも回避できます。

通常、契約書を交わした時点で請求する権利があると知ります。ほとんどの商売で発生する消滅時効は5年でカウントされます。

10年という時効期間は、請求できる可能性がある期間を表していると考えるとわかりやすいです。つまり、10年という時効期間があるのは、通常の請求だけでなく過払いや分割での未払いが発覚した時に動けるようにするためなのです。

6ヶ月や1年など、短期間の時効成立で請求する権利が失われることを避けるため、そして請求期間が長期化されないようにするために時効制度が改正されるのです。

時効の中断は「完成猶予」と「更新」へ

裁判確定までの時効中断は、時効の完成までの猶予という意味で「完成猶予」となり、裁判確定後に時効がリセットされることを「更新」と表すことになります。

現行民法の場合、時効の中断は一時的な停止を意味していました。民法改正後からは、中断の手続きがなされた時から時効のカウントがあらためてスタートする「リセット方式」になります。

請求を行なう場合は、訴訟から裁判確定までを中断として時効の針が一時ストップします。この間に時効を過ぎてしまっても、時効成立にはなりません。裁判確定後に時効がリセットされ、新たにカウントが始まります。

2020年4月1日以前の請求書はすぐに中断措置をとるか請求書を発行しよう!

2020年4月1日以前の請求書はすぐに中断措置をとるか請求書を発行しよう!
請求忘れがあったからといって、そこで終わりではありません。できる限りの行動を起こして、代金を回収していきましょう。「うっかり忘れていた!」と気付いた時には、すぐに取引先と請求についての対話を進めましょう。

円満解決するには、請求書の発行からすぐに支払ってもらうことです。もし取引先に支払うお金がない場合は、承認を得て時効の中断をしてもらいましょう。訴訟や差し押さえなどの法的手段をとることになれば、自社が負うコスト負担も大きくなります。

2020年4月1日からは時効中断の定義も変わります。シンプルになるとはいえ、切り替え時期には複雑に感じることもあるはずです。思い当たる請求忘れがあるなら、善は急げです。請求書の発行手順などを確認して適切な対処を行ないましょう。

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